1人が複数の送信者になる必要はよくあります。小規模事業の経営者なら、見込み客にはsales@、仕入先にはaccounts@を使い、それ以外には自分の名前で送ります。3社の顧客を担当するコンサルタントは、3つのドメインを使い分けます。1つのメールボックスから複数のアドレスで送信できれば、3つのメールボックスを確認する必要はありません。
この記事では、差出人情報の仕組み、差出人情報とエイリアスの違い、メールが届くかどうかを左右する認証設定について説明します。
差出人情報、エイリアス、メールボックス
複数のアドレスで送信する前に、関連する3つの概念を分けてください。頻繁に混同されますが、違いによって実際に必要なものが決まります。
エイリアスは、届いたメールを特定のメールボックスへ配信する追加アドレスです。受信を担当します。
差出人情報は、送信元として使用を許可されたFromアドレスに、表示名と署名を組み合わせたものです。送信を担当します。
メールボックスは、専用のストレージとログイン情報を持つアカウントです。
複数のアドレスで送信するには、差出人情報を使います。通常は同じアドレスで受信できるよう、エイリアスも組み合わせます。別々のメールボックスは適していません。確認場所を減らすという本来の目的に反してしまいます。
差出人情報に含まれる設定
差出人情報はFrom欄だけではありません。追加の設定があることで、複数アドレスからのメールが、場当たり的ではなく受信者にとって自然に見えます。
それぞれに表示名を設定できるため、accounts@からのメールを個人名ではなく、経理部門からの連絡として表示できます。署名も個別に設定できます。受信者が実際に読むのはこの部分です。3社へメールを書くコンサルタントには、1つの汎用署名ではなく、3組の連絡先情報が必要です。
返信時の設定は特に重要です。いずれかのアドレスへメールが届いたら、標準アドレスではなく、同じアドレスから返信する必要があります。異なるアドレスから返信すると、相手が送った宛先と返ってきた送信元が一致せず、連絡先の記録も徐々にずれていきます。受信アドレスに応じて差出人情報を自動選択すれば、毎回意識する必要がありません。
認証で注意する点
複数アドレスでの送信は、ここで失敗しやすく、しかも表面上は正常に見えます。
TrekMailで管理しているドメインのアドレスなら簡単です。認証はすでに整合しており、追加設定は必要ありません。管理していないドメインのアドレスでは、事情がまったく異なります。
差出人情報をyou@someoneelsesdomain.comにしてTrekMailから送ると、受信サーバーには、送信を許可していないサーバーから、そのドメインを名乗るメールが届きます。SPFに失敗し、DMARCアライメントも失敗する可能性が高く、迷惑メールに入るか拒否されます。それでも送信側では、問題なく送れたように見えます。
正しい方法は2つあります。そのメールボックスを外部アカウントとして接続すれば、返信は元の事業者を通り、その事業者の認証で送信されます。詳しくは、TrekMailで管理していないメールを読む方法で説明しています。または、ドメインをTrekMailへ正しく追加し、DNSで送信を許可します。差出人情報へアドレスを入力して、届くことを期待するだけでは機能しません。
エイリアスと差出人情報の使い分け
複数アドレスで送信する場合は両方を組み合わせることが多いものの、用途によって必要なものが異なります。
相手がそのアドレスへ送り、自分が返信する場合は、両方が必要です。エイリアスで受信し、差出人情報を使って同じアドレスから返信します。info@、support@、bookings@など、最も一般的な使い方です。
常に自分から送信を始める場合は、差出人情報だけで十分です。外向けのお知らせ専用なら受信する必要はありません。ただし、予定していなくても相手は返信するため、通常は受信もできるようにしておくほうが安全です。
受信するだけで返信しない場合は、エイリアスだけで足ります。使用しない差出人情報を追加しても、設定が増えるだけです。
メールボックスごとのエイリアス上限は、Starterが30個、Proが50個、Agencyが100個です。無料プランにはありません。本格的に複数アドレスを使うには、最初の有料プラン以上が必要です。
この方法が適していない場合
複数の送信元アドレスが解決策に見えても、実際には適さない状況が2つあります。
複数人が同じアドレスを使う場合。3人の担当者がsupport@に返信する状況で、それぞれに差出人情報を与えると、3人が同じアドレスから送信しながら、共通の対応履歴は残りません。履歴を一か所に保つ共有メールボックスが正しい構成です。
アドレスが本当に別々の役割に属する場合。コンサルティング業務と副業で、義務、記録、将来の所有者まで異なる可能性があるなら、確認場所が増えても別のメールボックスに分けるほうが明確です。差出人情報は、1人が複数の役割を使い分けるためのものであり、2つの別事業で1つの送信設定を共有するためのものではありません。
受信者に見える情報
多くのメールソフトはアドレスを隠して表示名を見せるため、表示名はアドレス自体より強い印象を与えます。
表示名が間違っている差出人情報から返信すると、アドレスが正しくても不自然です。受信者側のスレッド表示では、以前のメールまで別人から届いたように見えます。各差出人情報の表示名を意識して設定する作業は2秒で終わり、多くの小さな混乱を防げます。
実際の設定ポイント
初めて複数アドレスでの送信を設定するときは、次の点を確認してください。
- 標準の差出人情報を意識して選ぶ。新しいメールを作成したときに選ばれるのは、最もよく使う差出人情報にします。アドレスの選択ミスは返信より、新規メールで起きやすいためです。
- 各表示名を確認する。
noreply@の表示名が個人名になっていると、受信者はその小さな不整合に気づきます。 - 各差出人情報を一度テストする。外部アドレスへ送り、届いたこととメールヘッダーを確認します。特にTrekMailで管理していないドメインでは重要です。
- 署名を差出人情報ごとに設定する。すべてに同じ署名を使わないでください。企業として整ったメールと、個人が場当たり的に送ったメールの違いになります。
誰が送ってもドメイン全体で統一したブランド表示が必要なら、各自の設定に任せず、ドメイン単位の署名を集中管理できます。詳しくは、ドメイン単位の署名で説明しています。