会員制団体、学校、クラブ、慈善団体は、いずれ同じ疑問にたどり着きます。全員が団体ドメインのアドレスを持つべきでしょうか。通常、答えは「はい」ですが、実現を阻むのは費用です。会員が職員ではない組織にとって、ユーザー単位で課金される全員分のメールは高すぎます。
200人の合唱団、3,000人が所属する職能団体、900人の生徒がいる学校では、全員分の月額ユーザー料金を支払えません。ユーザー単位の費用がなくなると何が変わるのか説明します。
組織が全員分のアドレスを求める理由
全員分のメールを用意する目的は、メール機能そのものではないことがほとんどです。重要なのは、組織のドメインを持つアドレスが何を表すかです。
帰属意識。会員用アドレスは、組織の一員であることを目に見える形で示します。職能団体では、一種の資格証明にもなります。団体ドメインから送るメールは、個人アドレスにはない意味を伝えます。
変わらない連絡先。個人アドレスは、転職やメールサービスの変更で変わります。組織ドメインのアドレスは変わらないため、個人情報が古くなっても、組織は会員への連絡経路を維持できます。
明確な境界。ボランティアが組織の業務に個人アドレスを使うと、活動を終えた後に混乱が残ります。全員にメールを用意すれば、やり取りを組織側に保てます。
役職の継続性。委員会の役職が専用アドレスを持っていれば、次の担当者への引き継ぎはアドレス変更ではなく、アクセス権の変更になります。新しいアドレスを周知する必要もありません。
費用を率直に計算する
Google Workspaceの1ユーザー$7で計算すると、900人の生徒全員にメールを提供する費用は年間$75,600です。学校が導入しないのはそのためです。メールボックスごとに課金せず、プラン別に上限を設ける方式なら、同じ900アドレスを年額$279のAgencyプランで運用できます。
実際に購入する資源はストレージであり、計画すべきなのもその部分です。Agencyは200 GBの共有ストレージを提供するので、900人なら1人あたり約220 MBです。会員がときどきお知らせを受け取る組織なら、何年分もの余裕があります。生徒が毎日課題を添付してやり取りする学校には足りません。その場合、月額$3.20からのDriveアドオンは、プランを上げるより安価です。
会員制団体はアドレスの使い方を完全には管理できないため、メールボックスごとの容量制限が特に重要です。作成時に控えめな上限を設ければ、1人の活発な会員が共有領域を使い切るのを防げます。理由は、メールボックスのストレージ容量制限で説明しています。
手入力作業なしで一括作成する
全員分のメールが実現可能になるのは、数百回の作業ではなく、1回で作成でき、誰のパスワードも管理者が扱わずに済む場合だけです。
一括作成では会員名簿を読み込み、全員分をまとめて用意します。その後、設定用招待によって各会員が自分のパスワードを決めます。ここでは通常以上に重要です。相手は職員ではなく、社内規程の遵守を強制できません。そもそも組織が会員の認証情報を知るべきでもありません。具体的な操作は、メールボックスの一括作成で紹介しています。
命名規則は一度決め、その後も統一してください。名前と名字の組み合わせは、同姓同名が現れるまでしか使えません。200人なら十分に起こり得て、3,000人なら確実です。会員番号は見栄えが良くありませんが、一意です。多くの組織は両方を組み合わせた方式に落ち着きます。
予測できる3つの問題
全員分のメールには3つの予測可能な問題があります。発生後に気づくのではなく、先に対処を決めてください。
会員が使わない。最も多い結果でありながら、ほとんど議論されません。すでに気に入ったメールアドレスがある人は、2つ目を確認したがりません。全員分のメールが数百個の未開封メールボックスになり、送った通知が誰にも届かないなら、用意しない場合より悪い結果です。
独立したメールボックスを望まない人には、転送を使います。アドレスは存在し、本人が普段読む場所へメールが届き、組織も連絡経路を維持できます。無料プランには転送がないため、有料プランが必要です。
退会や離任を処理しない。会員は退会し、生徒は卒業し、ボランティアは活動を終えます。規程がなければアドレスは永久に増え続け、その数には意味がなくなります。命名規則と同時に、廃止のルールも決めてください。
アドレスが悪用される。自社ドメインのアドレスから不適切な内容が送られれば、傷つくのは本人ではなく組織の評判です。利用規約と、個別のメールボックスを停止できる仕組みが必要です。どちらも問題発生後より、最初に導入するほうが簡単です。
個人用アドレスと役職用アドレス
組織では両方が必要なのに、一つの方法だけで設定しがちです。違いを明確にしてください。
会員用アドレスは個人に属し、会員である期間は本人と共にあります。treasurer@、membership@、safeguarding@などの役職用アドレスは役割に属し、現在の担当者が替わっても残ります。
役職用アドレスには、利用者を個別にメンバーとして追加する共有メールボックスが適しています。引き継ぎでは1人を追加して1人を外すだけで、過去の履歴を新しい担当者もすべて参照できます。これはプロジェクトごとにメールボックスを用意する方法を、案件ではなく委員会の役職へ応用したものです。
よくある間違いは、会計担当者のアドレスを個人用メールボックスにすることです。引き継ぐたびに、パスワードを共有するか履歴を失うことになります。多くの組織が繰り返している失敗です。
会員資格が終わった後の扱い
生徒は卒業し、会員資格は失効し、ボランティアは活動を終えます。それでも翌日には、すべてのアドレスへメールが届き続けます。
退会者がアドレスをそのまま保持するのか、失うのか、個人アドレスへの転送という限定的な形で残すのか、早い段階で決めてください。同窓会は3つ目を選ぶことがよくあります。アドレスが組織とのつながりを保ち、維持費もほとんどかからないからです。問題を起こすのは規程がない状態です。アドレス数が永久に増え、現役会員のものを誰も把握できなくなります。
全員より小さな範囲から始める
全員分のメールを、本当に最初から全員へ提供する必要はありません。
まず、数が少なく価値が高く、すぐに役立つ委員会用と役職用のアドレスを作ります。次に、実際に希望した会員層へ提供します。利用率とストレージ消費の傾向が分かってから、全員へ展開してください。
メールボックスごとの料金がないため、この段階的な導入に追加費用はかかりません。推測するしかなかった情報、特に実際の利用率を確認できます。この数字こそ、全面展開に価値があるかを決めます。