ほとんど使わないアドレスに迷惑メールが届き始めても、出所は簡単に分かりません。長年にわたり複数企業へ渡したうち、どこかが漏えいまたは販売した可能性はあっても、メール自体は相手を示しません。登録ごとにエイリアスを使えばこの問題を継続的に管理でき、必要なのは一貫した命名習慣だけです。
古くからあるものの活用されていない方法です。サービスごとに別アドレスを渡し、すべて同じメールボックスへ配信します。不要なメールの宛先が、考えられる出所を示します。
登録ごとのメールエイリアスの仕組み
エイリアスは既存メールボックスの追加アドレスです。メールは同じ受信トレイに届き、サービスが対応し送信者IDを正しく設定すれば、そのアドレスで返信できます。外部からは通常のアドレスに見えます。
サービス名からエイリアスを作ります。店舗なら shopname@yourdomain.com、ニュースレターなら newslettername@yourdomain.com です。アドレス自体が関係を記録するため、別途メモが不要なこともあります。
予期しないメールが届いたエイリアスから、どの関係が原因かを推測でき、その一つだけを無効化または削除できます。ただし、転送、配信済みメール、中間キューによっては、流入が直ちに完全停止しない場合があります。
プラスアドレスより適する理由
最初に you+shopname@gmail.com を試す人は多く、便利ですが、この用途では二つの弱点があります。
タグを簡単に除去できます。プラス記法はサブアドレスに基づく公開仕様です。リスト処理時にプラス記号とアット記号の間を削れば、本来のアドレスを復元でき、一部のリスト業者は実際に行います。漏えい元の手がかりにはなっても、主アドレスの利用を止められず、匿名性も提供しません。
タグ付きだと一目で分かり、登録フォームやクライアントによっては拒否されます。独自ドメインのエイリアスは、独立した通常アドレスとして見えます。
プラスアドレスは通常設定不要ですが、エイリアスは作成が必要です。銀行、公共料金、会計士など長期の関係には短い設定時間をかける価値があります。一度きりのダウンロードなら、対応サービスではプラスアドレスで十分です。
費用
ここに記載する現行条件では、有料プランにエイリアスが含まれます。Starterはメールボックスごとに30、Proは50、Agencyは100で、無料プランにはありません。価格、内容、上限は変更される場合があります。
百個あれば多くの人の日常的な取引を十分カバーできます。上限を超える場合、ドメインのcatch-allなら事前作成なしで任意のアドレスを受信できます。ただし、特定のcatch-allアドレスだけを停止できないため、漏えい後も受信し続ける可能性があり、配信も保証されません。詳しくはドメインcatch-allの仕組みをご覧ください。
多くの人には、重要な登録にエイリアス、それ以外にcatch-allという組み合わせが実用的です。
長く使える命名方法
後から規則を再現できなければ運用は破綻します。三つの原則が役立ちます。
カテゴリではなくサービス名を使います。acmebank@ なら手がかりになりますが、複数の銀行が知る banking@ では判断できません。
推測できる規則にします。渡したエイリアスを毎回調べる必要があれば、すぐに続かなくなります。同じ変換を使い、忘れやすい略称を避けます。
日付やコードを複雑にしません。アドレスを読んですぐ答えが分かる時に最も役立ちます。解読が必要なら目的に合いません。
ほかに解決できること
漏えいの可能性を見つけることが主目的ですが、日常の小さな作業にも役立ちます。
解除できないメーリングリストを止める。エイリアスの無効化や削除は送信者の協力を要しません。ただし、すでに受信または転送されたメールは残る場合があります。
単純なルールで整理する。送信者ごとに異なる宛先なので、企業が送信ドメインを変えても分類規則を維持しやすくなります。
IDを明確に分ける。副業、ボランティア、本業に同じメールボックス内の別アドレスを割り当てられます。送信者IDを設定すれば、複数メールボックスを確認せず各名義で返信できます。
侵害との関係を確認する。対象エイリアスは、どの関係からアドレスが出たかの手がかりになります。ただし、原因企業や他の漏えいデータを単独で証明するものではありません。
失敗しやすい点
よくある二つの失敗を確認しておきます。
一つ目は、アカウント復旧に使うエイリアスを削除することです。shopname@ がログイン名なら、広告が煩わしいという理由で消すとパスワード再設定もできなくなる場合があります。削除前に関連先を確認してください。
二つ目は、一貫性がないことです。最初は熱心でも、急ぐ時に主アドレスへ戻ると、手間の割に答えを得られない不完全な仕組みになります。重要なアカウントには継続して使う必要があります。
エイリアスと別メールボックスの違い
エイリアスで足りる場面で、二つ目のメールボックスを作ることがあります。費用と管理負担が大きく異なるため、区別が重要です。
エイリアスはアドレスです。独自ストレージ、別ログイン、パスワードはなく、所属メールボックスへ届きます。メールボックスは、ストレージと認証情報を持ち、プラン上限にも個別に数えられるアカウントです。
登録ごとに使うのはエイリアスです。多数のサービスに同数のメールボックスを作ると管理が難しく、プラン上限を消費します。多くのアドレスを一つの受信トレイへ集めるのが想定用途です。別の人が読む場合や、ストレージと権限を分離する場合にはメールボックスを使います。
後で他人に渡す可能性がある独立ID、たとえば将来従業員を雇う副業には、別メールボックスが適します。それ以外は通常エイリアスで十分です。
エイリアスとして返信する
双方向で通常アドレスとして動作して初めて仕組みが完成します。不完全な設定は返信時に問題になりがちです。
企業が shopname@yourdomain.com へ送ったのに、返信が主アドレスから届けば、守ろうとしたアドレスを開示し、相手のシステムが識別できない場合もあります。ここでは正しく設定しクライアントが対応していれば、エイリアスを送信者IDにできます。
最初に返信する時ではなく、エイリアス作成時に送信者IDを設定してテストしてください。その方が手間を抑えられます。
企業でも使える同じ方法
登録ごとのエイリアスは個人のプライバシー対策だけではありません。同じ仕組みが企業の別課題を解決します。
各仕入先、マーケットプレイス、ソフトウェア会社へ共有メールボックス上の別アドレスを渡します。買収後に送信ドメインが変わっても、どの関係から来たメールかを判断しやすくなります。漏えいした可能性のある取引先も示せますが、責任主体の証明にはなりません。
退職時にも便利です。利用可能な転送と権限設定の範囲で、担当関係のアドレスを別の人へ割り当て直せるため、すべての仕入先へ直ちに更新依頼する必要がありません。個人ではなく仕事に通信を結び付ける考え方は、プロジェクトごとのメールボックスでも説明しています。
一覧を管理しやすく保つ
しばらく運用すると多数のアドレスが蓄積します。一覧を理解できる状態に保てるかが成否を分けます。
年に一度確認し、使わないサービスのエイリアスを削除します。ただし、ログイン名や復旧経路ではないことを先に確認してください。識別できないものは整理候補ですが、可能なら削除前に無効化する方が安全です。
一度しか使わないものに恒久エイリアスを作らないでください。不要な項目が増えると重要なものを探しにくくなります。継続的な関係にはエイリアスを使い、それ以外はサービスとクライアントが対応する場合にプラスアドレスを使えます。
すべてをやり直さず始める
長年の全アカウントを移行する必要はありません。新規登録から始め、金融関連、住所を保存するもの、毎週メールを送るものなど、管理したいアカウントを順に変更します。復旧手段、クライアント互換性、独自ドメインのDNSも確認します。
時間がたつと、出所を示すアドレスに届くメールが増え、誰がアドレスを渡した可能性があるかを絞り込めます。ただし、法科学的な証明ではありません。手順はメールエイリアスの作成をご覧ください。